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つながりブログ

2026年10月のブログ記事一覧

長引く咳、血圧の薬のせいかもしれません

2026.10.01 ブログ

西新宿内科つながりクリニックの臼井靖博と申します。
「つながりブログ」をご覧いただき、ありがとうございます。

血圧を下げる薬(降圧薬)が、長引く咳の原因になることをご存じでしょうか?

降圧薬はたくさんの種類があるのですが、長引く咳に関係するものには大きく二つがあります。一つはアンギオテンシン変換酵素阻害薬(ACE阻害薬)、もう一つはカルシウム拮抗薬です。

ACE阻害薬は、血圧をあげるホルモンのひとつ、アンギオテンシンの産生を抑えることで血圧を下げる薬です。この薬は同時に、気道を敏感にする作用があるブラジキニンという物質の分解も阻害します。このためACE阻害薬を服用すると体内にブラジキニンが増えて、気道が刺激に反応しやすくなり、コンコンという乾いた咳(乾性咳嗽)が出現します。最近は以前ほど使われなくなった薬ですが、高血圧だけではなく、心不全にも効果があるため、継続的に服用している方は少なくありません。

しかし、内服したら必ず咳が出るわけではなく、咳が出るのは、患者さんの10~20%と言われています。咳が出ない場合は飲み続けても問題ありません。咳が出る場合も他の降圧薬に変えることで改善することが多いです。ただ、ACE阻害薬で咳が出る患者さんは、潜在的に喘息を持っているという研究結果があるため、当院では呼気一酸化窒素(FeNO)測定などで、喘息の有無を調べるようにしています。実際、1年間でACE阻害薬による咳の患者さんを3名拝見しましたが、うち2名は喘息を併発していました。

カルシウム拮抗薬は、血管を広げることで血圧を下げる薬で、広く使用されています。この薬は、胃と食道を分ける境目の筋肉(胃食道括約筋)を緩める作用があり、その影響で胃の内容物が食道に逆流しやすくなることがあります。逆流性食道炎の頻度が3倍程度高くなることも報告されています。当ブログで以前ご紹介しましたが、逆流性食道炎は長引く咳の原因として見逃せない病気です(のどのイガイガと長引く咳③ 胃食道逆流症)。例えば、高血圧でカルシウム拮抗薬、逆流性食道炎で胃薬を飲んでいる患者さんで、乾いた咳が続いている場合、カルシウム拮抗薬が間接的な咳の原因になっている可能性を考えて、処方を見直す必要があるかもしれません。

当院の咳問診で現在治療中の病気について尋ねたり、診察の際に服用中のお薬をお聞きしたりするのは、咳の原因となる薬を服用していないかを確認するためでもあります。ブログをお読みいただいている皆さんの中にも、血圧の薬を飲んでいる方がたくさんいらっしゃると思います。降圧薬を服用中で咳が長引いている方は、処方医に相談されることをお勧めします。