2026年04月のブログ記事一覧
喘息らしさを測る③ 血清総IgEから分かるアレルギーとのつながり
2026.04.01 ブログ
西新宿内科つながりクリニックの臼井靖博と申します。
当院の「つながりブログ」をご覧いただき、ありがとうございます。
明確な診断基準がない喘息ですが、「タイプ2炎症」という「かいかいぐじゅぐじゅ」な気道の炎症(ただれ)が主な原因であることがわかってきました。前回、前々回のブログでは、このタイプ2炎症の有無、つまり「喘息らしさ」を持っているかどうかを客観的に判断する3つの指標のうち、呼気一酸化窒素(FeNO)と血中好酸球数についてご説明しました。今回は、3つ目の指標、血清総IgEについて書きたいと思います。
IgEは、免疫グロブリンと呼ばれるたんぱく質の一種で、アレルギー反応と深い関係があります。花粉、ダニなどの異物(アレルゲン)が体内に入ると、まずB細胞というリンパ球がIgEを産み出します。皮膚や気道などには、肥満細胞という細胞があるのですが、IgEはこの肥満細胞に結合します。体内に再びアレルゲンが入ってくると、IgEがアレルゲンを捕まえ、それを合図に肥満細胞からヒスタミンという物質が放出されます。本来、ヒスタミンはくしゃみ、鼻水、涙、咳などを起こすことで体の中から異物を排除する防御機能を担っているのですが、この反応が強すぎるとつらいアレルギー症状になってしまいます。皆さんご存じの花粉症治療薬は、抗ヒスタミン薬と言われ、このヒスタミンの作用をブロックすることで症状を緩和します。
血清総IgEとは血液中にあるIgEの総量のことで、採血して測ります。スギ、ダニ、カビなどいろいろなものに対してアレルギーがある患者さんでは、数値が高くなる傾向があります。アレルゲンの影響を受けるため、数値が大きく上下するのですが、アトピー性皮膚炎がある喘息患者さんでは、常に高い値を示します。IgEの検査には、血清総IgEと特異的IgEの2種類があり、血清総IgEがアレルギー体質の有無や傾向を示すのに対し、特異的IgEはどのアレルゲンに反応しているのかとその反応の強弱を教えてくれます。
喘息に関係するアレルゲンの多くは、花粉、ハウスダスト、ダニ、動物の毛など、気道に吸い込むことでアレルギー反応を起こすタイプのものです。日本人では特にダニが強く関係していると報告されています。血清総IgEと特異的IgEを測定することで、喘息と合併することが多いアトピー性皮膚炎も合わせた治療やアレルゲンの回避、ダニ舌下免疫療法などを行うことができ、喘息患者さんの生活の質の向上につながると考えられます。
私は、血清総IgE値が非常に高く、いろいろなアレルゲンに反応してIgEがたくさん作られてしまう体質(これを「アトピー素因」といいます)を持つ喘息患者です。そのため、様々な刺激によって咳や喘鳴が出て、皮膚がただれたり、かゆみが起きたりしてきました。アトピー素因は、小児期に改善することもあれば、私のように成人になっても残ってしまう場合もあります。私と同じようにアトピー素因を持つ患者さんは「咳が出るのは当たり前」「かゆくなるのは当たり前」の生活を長く続けていることが少なくないのですが、吸入ステロイドや外用薬、注射で行う生物学的製剤を上手に組み合わせて、タイプ2炎症を抑える治療をしっかり行うことで、当たり前だった咳とかゆみの毎日を変えられるようになってきました。そのお手伝いができればうれしく思います。