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つながりブログ

2025年12月のブログ記事一覧

S先生

2025.12.15 ブログ

西新宿内科つながりクリニックの臼井靖博と申します。
当院の「つながりブログ」をご覧いただき、誠にありがとうございます。

昨年11月に始めたつながりブログ、おかげさまで無事1年を迎えることができました。そこで今月から毎月1日と15日の月2回更新を目指していこうと考えています。1日はこれまで通り体や病気、健康に関することを、15日は私の生い立ちや思い出話、日々の暮らしや出会いのなかで感じたことなどを綴っていきます。

今回は、私の自己紹介も兼ねた思い出話を少々。
本年1月のブログ「2025年もよろしくお願いします」の続きとなります。

伊豆・下田の商店街にある洋服店の息子として生まれた私は、そのまま地元の保育園、幼稚園に通い、多くの友達とともに市立下田小学校に入学しました。昭和世代にはご理解いただけると思いますが、当時の児童数は、田舎の小学校でさえ1200人を超えていました。

小学校3、4年生の担任が、S先生でした。
S先生は、いつも背筋がピンと伸び、凛としていて、一見怖そうなのですが、話しかけるといつも笑顔で接してくれる、優しい先生でした。私のことをとてもかわいがってくださり、そのころの私は、先生に褒められたいばかりに漢字や計算練習の宿題を毎日欠かさずやっていました。

通っていた小学校にはプールがなかったため、水泳の授業は鍋田浜という波の穏やかな小さな浜辺で行っていました。浜に着いて、先生も子どもたちも水着になったときです。S先生の背中に大きな傷があることに気づきました。先生は軍隊経験があり、敵に切られて負傷した傷跡でした。友達のなかには、怖がって近づかない子もいましたが、私はその傷に驚いたものの、全く気にせず、「ブイまでいくぞ~。乗るか?」といってくれた先生の背中に飛び乗り、沖の方まで連れて行ってもらいました。

ある日の終礼の時、先生が黒板に「精進」という言葉を書かれました。小3の私には正直、先生の説明がよく理解できなかったのですが、どうやら「一つのことをあきらめずにコツコツ続けること」が大事なのだと教わったような気がして、宿題ノートの表紙に「精進」と書きました。何日か経って、それを見つけた母親に「あんた、この言葉どこで教わったの?」と聞かれたことがありました。「S先生に教わったんだよ。よくわからなかったけど、いい言葉だなあと思って」と答えたことを覚えています。

先日、実家に帰った時に、18歳の私がS先生に宛てた手紙が出てきました。山形大学医学部に入学した時に送ったものでした。実はちょうど同じ頃、祖父も先生にお礼の手紙を出していて、先生から祖父への返書の中に、私が書いた手紙のコピーが同封されていたそうです。その手紙の中で私は「何事にも努力精進し、少しでも大きな人間になれたらと思っています。」と書いていました。

医師になって30年近く経ちましたが、先生の教えを守り、生涯、努力精進を続けていきたいと思っています。

写真は鍋田浜です。遠浅の入り江にできた小さな浜辺です。

昼の咳と夜の咳

2025.12.01 ブログ

西新宿内科つながりクリニックの臼井靖博と申します。
「つながりブログ」をご覧いただき、ありがとうございます。

当院の咳問診には「咳が最もひどくなる時間帯はいつですか」という質問があります。「ずっと咳が出ているのでわからない」という患者さんも多くいらっしゃいますが、詳しくお聞きするのには理由があります。実は、昼と夜、咳の出る時間帯で咳の原因が異なることがあるのです。

主に昼間に咳がひどくなる場合、咳の原因として、のどのアレルギーや後鼻漏に伴う咳、胃食道逆流症などが考えられます。胃食道逆流症の場合は特に食後に咳が悪化する傾向があります。いずれものどや気道にある咳のセンサー「咳受容体」が刺激されて過敏になっていることが原因だと考えられています。

一方、夜寝ている間から早朝にかけて咳がひどくなる場合、最初に考えられるのが喘息です。「咳で目が覚める」「咳で寝付くことができない」といった症状があれば、喘息の可能性がさらに高くなります。

夜は、細菌やウイルスなどの外敵が気管支や肺に侵入しないように、副交感神経という自律神経の働きによって気道から出る分泌物が増え、気道がむくみやすくなります。喘息の患者さんでは、この働きが過剰になり、分泌物がより多く出てしまいます。もともと喘息とは、気管支に慢性的に炎症(ただれ)が起きている病気です。このただれがあることで、喘息の患者さんの気道はとても敏感で、分泌物が増えたなどのちょっとした刺激でも気管支の筋肉が収縮して咳が誘発されるのです。

また昼夜を問わず断続的に続く咳としては、マイコプラズマや百日咳など感染症によるものが考えられます。もちろん、これらはあくまでも目安です。喘息の患者さんで、夜だけでなく日中も咳がひどいことはよくあることです。最近の研究では、喘息の場合も咳受容体が過敏になることで、日中の咳につながっていることがわかってきました。

いつ咳がひどくなるかを知ることは、咳の診断をする上でとても重要な手がかりとなります。診察室で「昼なのか夜なのか」「食後はどうか」など細かくお聞きすることがあるかと思いますが、ご協力をお願いします。