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つながりブログ

2026年01月のブログ記事一覧

手を当てること

2026.01.15 ブログ

西新宿内科つながりクリニックの臼井靖博と申します。
当院の「つながりブログ」をご覧いただき、ありがとうございます。

2026年、新しい1年が始まりました。年の初めということで、少し所信を述べたいと思います。

私が医師という人生に踏み出してから今年で32年になります。以来、研修医として、中堅医として、指導医として、地域の診療所の医師として、様々な知識や経験を積んで参りました。しかしこの30余年、変わらずにずっと大切にしていることがあります。それは

「手を当てること」

古来絶えることなく、病める人々に手を当てることで、医療者は病の原因を探し、診断をしてきました。治療法が限られる中でも、手を当てることで、痛みや苦しみを和らげる努力をしてきました。それが「手当て」の語源なのだと思います。

医療技術の進歩は目覚ましく、AIやロボットなど、医療者の代わりを果たす技術が広がりつつあります。正確な診断、治療は良い手当てにつながります。上手に活用することはとても大切なことだと思います。

しかし、実際に手を当てられるのは、同じ人間である医療者だけです。
私は医師として、人間として、これからも一途にずっと患者さんに手を当て続けていきたいと思っています。

喘息は波の病気です

2026.01.04 ブログ

西新宿内科つながりクリニックの臼井靖博と申します。
当院の「つながりブログ」をご覧いただき、ありがとうございます。
2026年もよろしくお願いいたします。

私は幼少期からアレルギーが強く、物心がついたころから、毎晩のように喘息の発作に悩まされていました。止まらない咳と痰、ぜーぜーして思うように息を吐くことができず、しまいには息を吸うことも難しくなり、「このまま息ができなくなるのかな?」という恐怖にさらされたことを、今でも鮮明に記憶しています。ただ、子どもながら、夜になると苦しくなり、日中になると良くなることを自然と理解していました。また、春と秋の寒暖差が大きくなる時期には、決まって悪くなることも自覚していました。

喘息には元々、日中は症状が軽くなり、夜間と早朝に悪くなる日内変動、季節の変わり目に悪くなる季節性変動という性質があります。これは外気温や湿度、ほこりやダニなどのアレルゲン、自律神経の変化に対し、喘息の炎症を起こしている気管支が過敏に反応してしまう、気道過敏性によるものと考えられています。このため、寄せては返す波のように症状が良くなったり悪くなったりを繰り返してしまうのです。喘息はまさに波の病気なのです。

長びく咳で来院した患者さんが喘息と診断され、吸入ステロイドを開始すると、比較的速やかに咳が止まり、夜、咳で眠れないことがなくなります。多くの患者さんは治ってしまったと思い、治療を中断してしまいますが、これは一時的に波が小さくなっただけのことが少なくありません。季節が変わったり、風邪をひいたりといったきっかけで再び波が大きくなると、咳、痰、ぜーぜーという喘鳴(ぜんめい)が繰り返し起こってしまうのです。波の大きさや幅は、人それぞれ違いますので、治療を中断してもしばらくは何も起きない人もいれば、すぐに悪くなる人もいます。

吸入ステロイドを中心とした喘息の治療薬は、喘息の波を小さくする「波消しブロック」であり、大きな発作―高波―になるのを防ぐ「防波堤」であると考えていただくとわかりやすいと思います。症状のない時にも治療を続けると、波消しブロックや防波堤が築かれるので喘息の波が小さく穏やかになり、大きな発作―高波―につながることもなくなります。そして、治療の強さ―ブロックや防波堤の大きさ―も徐々に小さくすることができます。

そうは言っても、「何も症状がないのに薬を続けるのはなぁ」と思われるのは当然だと思います。喘息持ちの医者だからこそ、患者さん一人ひとりの価値観、すなわち「吸入を続けることが、自分の生活、人生にメリットがあるのか」を一緒に考えていきたいと思っています。

写真は、前回のブログ「S先生」でもご紹介した、私のふるさと下田にある鍋田浜という浜辺です。遠浅の入江で、台風が来ても大きな波が来ないので、昔は船の風待ちに利用されていたそうです。継続的な治療を行うことで、喘息の波を鎮めて、この鍋田浜のように静かで穏やかな状態になることを目指しましょう。