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つながりブログ

2026年03月のブログ記事一覧

路地裏の少年が浜省に出会った日

2026.03.15 ブログ

西新宿内科つながりクリニックの臼井靖博と申します。
当院の「つながりブログ」をご覧いただき、誠にありがとうございます。

先月のブログ「Y先生にあこがれて」をお読みいただいた方は、中学時代の私を、吹奏楽部ひとすじのクラシック少年だと思われたかもしれません。実は違います。吹奏楽部顧問のY先生と同じくらい、いやそれ以上にあこがれの存在がいました。日本を代表するシンガーソングライター、「浜省」こと浜田省吾さんです。

私と「浜省」との出会いは、小学校6年生の時でした。私の通う小学校の体育館で「浜田省吾コンサート」が開かれたのがきっかけです。田舎の小学校ですから、体育館はかまぼこ型の屋根をした木造建築で、もちろん音響など全く考慮されていません。でも当時の下田には、市民会館のようなものがなく、浜省のコンサートは小学校の体育館、郷ひろみのコンサートは中学校の体育館といった具合に、コンサートだろうが演劇だろうが体育館が会場となっていました。

1980年代前半、浜省は20代でした。コンサートでは、大音響でロックンロールが響きわたるなか、会場を沸かせようと、浜省が「もっと盛り上がっていこう!」と呼びかけます。しかし、聴衆はおじいさんおばあさんばかり。立ち上がるわけでもなく、パイプ椅子に行儀よく座ったまま曲にあわせて手拍子をし続ける――。なんともいえないシュールな光景が広がっていました。浜省ファンの方には「『僕と彼女と週末に』に勝るとも劣らない奇妙さ」と言えば、会場の様子が分かっていただけるかもしれません。40年以上経った今でも鮮明に覚えています。

それでも、生まれて初めてのコンサートが浜省、という衝撃は大きく、「路地裏の少年」(浜省の代表作のひとつ)ならぬ田舎の洋服屋の少年は、そのパワーにただただ圧倒されていました。コンサート終演後、家の隣のレコード屋に駆け込み、お小遣いをはたいて浜省のアルバム「愛の世代の前に」を購入しました。このアルバムは、ライブで大合唱になる「ラストショー」や、のちにミリオンセラーになる「悲しみは雪のように」などが収録されており、まさに珠玉のアルバムです。

高校生になり、周りの友人にも浜省好きが増え、「J BOY」「19のままさ」などの曲をよくみんなで歌ったものでした。その後も人生の折々で、浜省の歌に涙し、励まされ、前を向いて進む勇気をもらってきました。まさに「君が人生の時」(これも代表作)です。

浜省の人生は、「ソングライターの旅」だとご自身が語っています。若さ、貧しさ、孤独、反逆、後悔、哀しみ、恋愛、友情、家族、、、。人生という旅の過程で経験したこと、感じ取ったことを書き、歌い、同じような人生を歩んだ聴衆が、それを感じとるからこそ、メディアにほとんど出演しない、70歳を超えた浜省のライブに、未だ一万人以上の人たちが集まるのだと思います。私も一昨年、有明アリーナで開催されたライブに当選して、70歳を超えても19のままの浜省のパワーをもらうことが出来ました。ツアーメンバーも皆さん元気で、40年以上変わらないでいられるのは、友情を超えたご縁で結ばれた仲間だからなのだろう、と感じました。

 第一線で活躍し続けている浜省に負けないよう、私も頑張っていきたいと思います。

喘息らしさを測る② 好酸球が教えてくれること

2026.03.01 ブログ

西新宿内科つながりクリニックの臼井靖博と申します。
当院の「つながりブログ」をご覧いただき、ありがとうございます。

喘息は明確な診断基準がなく、医療者にも患者さんにもあいまいでわかりにくい病気です。ですが、喘息の仕組みは徐々に解明され、「タイプ2炎症」という「かいかいぐじゅぐじゅ」な気道の炎症(ただれ)が主な原因であることがわかってきました。2月1日のブログ「喘息らしさを測る① FeNOという道しるべ」で、タイプ2炎症の有無を客観的に判断する指標として、近年、呼気一酸化窒素(FeNO)、血中好酸球数、血清総IgEという3つの指標が活用されているとご説明しました。今回は二つ目の指標「血中好酸球数」について書きたいと思います。

好酸球は血液中にある白血球の一種です。細胞はそのままでは透明で観察しにくいため、顕微鏡で調べる際に染色を施します。好酸球は、酸性の染色液によく染まるため「好酸」という名前がつきました。好酸球には様々な役割がありますが、中でもタイプ2炎症の成り立ちと悪化に深く関係することがわかっています。呼気一酸化窒素(FeNO)が、タイプ2炎症が起きた“結果”として気管支内から多量に放出されるのに対し、好酸球はタイプ2炎症を作り出す“原因”の一つとして位置づけられます。

気道にタイプ2炎症が起きると、血液中の好酸球が気道に集まります。集まった好酸球は、花粉など外界からの異物や免疫細胞が放出する物質など、さまざまな刺激によって活性化し、炎症を強めてしまうことがあります。これが“原因”と言われる理由です。実は、痰の中に含まれる好酸球の量を測ることで、タイプ2炎症の程度を直接的に類推することができます。しかし痰は採取が難しく、検査に手間もかかることから、より簡単に採取・測定できる血液中の好酸球数を用いて間接的に評価することが一般的になっています。

タイプ2炎症の目安となる血中好酸球数には様々な基準がありますが、1回の検査で150個/μL以上、または過去1年間の検査のうち一度でも300個/μL以上であれば、気管支にタイプ2炎症が生じているとされています。さらに好酸球数は、治療に用いる吸入薬や注射製剤が効きそうか(効果予測)、複数ある注射製剤のどれが効きそうか(薬剤選択)を判断する際の指標にもなります。一般的には、好酸球数が多いほど治療効果があることが報告されています。一方、好酸球数が1500個/μL以上の場合は、喘息のような症状がある好酸球性多発血管性肉芽腫症やアレルギー性気管支肺真菌症など、別の病気が隠れている可能性があります。こうした好酸球が異常に増える病気を見逃さないためにも、当院では積極的に測定を行っています。

「なぜ喘息で採血?」と疑問に思う患者さんもいらっしゃると思いますが、血中好酸球数の測定は自己負担300~400円(3割負担の場合)と比較的安価であるにもかかわらず、喘息の状態を把握する上で重要な情報を提供してくれます。こうした理由から、喘息診療の拠りどころとして、もっと活用してよい検査だと考えています。採血にご理解いただければ幸いです。