喘息らしさを測る② 好酸球が教えてくれること
西新宿内科つながりクリニックの臼井靖博と申します。
当院の「つながりブログ」をご覧いただき、ありがとうございます。
喘息は明確な診断基準がなく、医療者にも患者さんにもあいまいでわかりにくい病気です。ですが、喘息の仕組みは徐々に解明され、「タイプ2炎症」という「かいかいぐじゅぐじゅ」な気道の炎症(ただれ)が主な原因であることがわかってきました。2月1日のブログ「喘息らしさを測る① FeNOという道しるべ」で、タイプ2炎症の有無を客観的に判断する指標として、近年、呼気一酸化窒素(FeNO)、血中好酸球数、血清総IgEという3つの指標が活用されているとご説明しました。今回は二つ目の指標「血中好酸球数」について書きたいと思います。
好酸球は血液中にある白血球の一種です。細胞はそのままでは透明で観察しにくいため、顕微鏡で調べる際に染色を施します。好酸球は、酸性の染色液によく染まるため「好酸」という名前がつきました。好酸球には様々な役割がありますが、中でもタイプ2炎症の成り立ちと悪化に深く関係することがわかっています。呼気一酸化窒素(FeNO)が、タイプ2炎症が起きた“結果”として気管支内から多量に放出されるのに対し、好酸球はタイプ2炎症を作り出す“原因”の一つとして位置づけられます。
気道にタイプ2炎症が起きると、血液中の好酸球が気道に集まります。集まった好酸球は、花粉など外界からの異物や免疫細胞が放出する物質など、さまざまな刺激によって活性化し、炎症を強めてしまうことがあります。これが“原因”と言われる理由です。実は、痰の中に含まれる好酸球の量を測ることで、タイプ2炎症の程度を直接的に類推することができます。しかし痰は採取が難しく、検査に手間もかかることから、より簡単に採取・測定できる血液中の好酸球数を用いて間接的に評価することが一般的になっています。
タイプ2炎症の目安となる血中好酸球数には様々な基準がありますが、1回の検査で150個/μL以上、または過去1年間の検査のうち一度でも300個/μL以上であれば、気管支にタイプ2炎症が生じているとされています。さらに好酸球数は、治療に用いる吸入薬や注射製剤が効きそうか(効果予測)、複数ある注射製剤のどれが効きそうか(薬剤選択)を判断する際の指標にもなります。一般的には、好酸球数が多いほど治療効果があることが報告されています。一方、好酸球数が1500個/μL以上の場合は、喘息のような症状がある好酸球性多発血管性肉芽腫症やアレルギー性気管支肺真菌症など、別の病気が隠れている可能性があります。こうした好酸球が異常に増える病気を見逃さないためにも、当院では積極的に測定を行っています。
「なぜ喘息で採血?」と疑問に思う患者さんもいらっしゃると思いますが、血中好酸球数の測定は自己負担300~400円(3割負担の場合)と比較的安価であるにもかかわらず、喘息の状態を把握する上で重要な情報を提供してくれます。こうした理由から、喘息診療の拠りどころとして、もっと活用してよい検査だと考えています。採血にご理解いただければ幸いです。