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つながりブログ

喘息はあいまいな病気

2025.09.01 ブログ

西新宿内科つながりクリニックの臼井靖博と申します。
当院の「つながりブログ」をご覧いただきありがとうございます。

長引く咳や息切れなどで受診したとき、「喘息かもしれない」「喘息気味」「喘息っぽい」などと言われた経験はありませんか。当院にお越しになる患者さんの中にも「病院で『喘息っぽい』と言われたことがあります」という方がいらっしゃいます。一方で「喘息ですね」と診断結果をお伝えすると、「えっ、喘息ですか? これまで何軒も受診してきましたが、今まで喘息と診断がつかなかったのはなぜでしょうか」と驚かれたり質問されたりすることがあります。

高血圧やがんでは「高血圧っぽい」「がん気味」と言われることは少ないと思います。血圧を測定して基準を超えていれば高血圧と診断しますし、組織を採取して顕微鏡でがん細胞を認めればがんと診断します。しかし喘息には「咳が何時間続いたら」「気管支に喘息細胞がいたら」といった診断基準がありません。喘息の診断・治療の指針として、日本喘息学会が刊行している「喘息診療実践ガイドライン」にも「喘息の診断には“ゴールドスタンダード(これがあれば診断してよいというもの)”となり得る客観的な指標はない」とはっきり記されています。この「診断する明確な基準がない」ことが、医療者にとっても患者さんにとっても、喘息をあいまいで、わかりにくい病気にさせているのです。

では、どうやって喘息と診断するのでしょうか。

最も大切なのは詳しい問診です。喘鳴、息切れ、咳、痰などの症状が季節や一日の中で、良くなったり悪くなったり波のように変動する、においやほこりで咳が出る、風邪をひくといつも咳が長引く、家族に喘息の人がいる、小児喘息といわれたことがある、アトピー性皮膚炎がある、ダニ、ハウスダストなどにアレルギーがある、といったさまざま症状や背景をお聞きして「喘息らしさ」を探し出します。そのうえで、胸部レントゲン、呼気一酸化窒素濃度(FeNO)、血液中の好酸球数やアレルギー検査などを参考に「喘息」と診断をします。吸入ステロイドや気管支拡張剤を使って症状が改善するかどうかも重要な判断材料になります。

喘息はあいまいでわかりにくい病気ですが、私自身が喘息患者であることを生かしつつ、なぜ喘息と診断したのかを根拠をもって説明し、治療する努力をして参ります。