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COPD(慢性閉塞性肺疾患)

COPDとは

COPD (慢性閉塞性肺疾患) は、主に喫煙による慢性的な気道、肺胞の炎症により、長期にわたり肺機能が低下していく病気です。
喫煙歴のある中年以降の男性に多く見られ、慢性的な咳、痰、労作時の息切れをきたしますが、自覚症状に乏しいことも多く、しばしば発見が遅れ、診断されたときにはかなり進行した状態であることも少なくありません。
以前は比較的高齢の痩せた男性患者さんが多かったのですが、近年は肥満の中高年男性に多くみられるようになりました。

【画像】喫煙するビジネスマン

COPDの診断と検査

COPDの診断の第一は、現在の喫煙歴だけではなく、過去どのくらい喫煙していたかなど喫煙歴をしっかり確認し、咳、痰、息切れなどについて詳しく問診することです。ただ、自覚症状に乏しいことが多いため、COPD-PSなどの簡易的な質問票でスクリーニングをすることも大切です。
これらの結果からCOPDが疑われる場合、呼吸機能検査や胸部レントゲン、CTなどを行い診断していきます。

COPDの合併症

COPDは喫煙が深く関係し、全身性の炎症を引き起こすことにより、肺がんのほか、狭心症、心不全、心房細動、脳梗塞など心臓、脳血管の病気の発症、悪化因子となり、これらの予後を悪くすることがわかっています。反対にこれらの心臓や脳血管の病気をもつ患者さんは喫煙歴があることが多いため、COPDの合併を念頭において積極的に検査、診断をする必要があります。
COPDは、睡眠時無呼吸症や喘息との合併が多いことも報告されています。睡眠時無呼吸症との合併は、オーバーラップ症候群 (Overlap Syndrome: OVS)、喘息との合併は喘息とCOPDのオーバーラップ (Asthma COPD Overlap: ACO) と言われ、これら3つの病気すべてが合併することもあります。そしてCOPDだけではなく、このような病気のつながりが、心臓、脳血管の病気の発症、重症化に強く関係していることもわかってきました。そのため、肥満、いびきのあるCOPD患者さんには、積極的に睡眠時無呼吸症の検査を行い、喘息の可能性があるCOPD患者さんには、呼気一酸化窒素 (Fractional exhalated Nitric Oxide: FeNO) やアレルギー歴などのチェックを行い、OVS、ACOのスクリーニングをすることが重要です。
COPDもまた、つながりの医療による積極的な検査、診断が求められる病気であるといえます。            

COPDの治療

治療には禁煙が必須です。そして病状に応じた気管支拡張薬の吸入や内服療法を行い、ACOの場合には吸入ステロイドの併用、OVSに対しては重症度に応じてマウスピースやCPAP療法を行います。                           これらの治療は、COPDの悪化 (増悪:ぞうあく) による呼吸機能低下を防ぐだけではなく、合併する心臓、脳血管の病気の発症、重症化リスクを減らすことが期待できます。
またCOPDは、一日の安静時間が多いほど呼吸機能の低下が進行しやすいことが知られており、「息苦しいから歩かない」ではなく「歩いて息苦しさを進行させない」ことも重要です。
生命予後の改善と生活の質の向上を目指し、つながりの医療でCOPDの診断、治療を行ってまいります。