片頭痛とは
慢性頭痛のほとんどは、肩こりなどが原因となる緊張型頭痛、ある一定期間連続して目の周りなどにするどい痛みが出現する群発頭痛、そして主に頭の半分がズキンズキンと痛む片頭痛の3つに分類されます。
このうち片頭痛は、働き世代や子育て世代の女性に多く、生活に支障をきたすことも少なくありません。
さらに、働き世代の片頭痛の患者さんでは、約15%の方が頭痛によって生じる欠勤や早退、約35%の方が頭痛により仕事がはかどらないといった経験をされています。
片頭痛の原因
片頭痛の発症には三叉神経が関与していることがわかっています。 様々な刺激が三叉神経に伝わると、カルシトニン関連遺伝子ペプチド(CGRP)が三叉神経の終末で放出されます。これを受け取った脳の表面にある硬膜の血管が拡張することで、ズキンズキンとした痛みを起こすと考えられています。
気候の変化、寝不足、寝過ぎ、赤ワインやチーズなどの食べ物、チカチカした光、香水の匂いなどで頭痛を繰り返している方は片頭痛の可能性があります。 また、月経に関連した頭痛の多くは片頭痛と考えられています。
片頭痛の検査
患者さんがお困りになっている「頭痛」について丁寧にお話を聞き、その上で、他の病気が隠れていないかを確認するために頭部MRIをすることもあります。
またHIT-6という頭痛評価スケールにお答えいただき、患者さんの片頭痛の程度とお困りごとを共有しながら、治療を進めていきます。
片頭痛の合併症
片頭痛にはいくつかの併存疾患があります。 喘息も併存疾患のひとつとして知られており、約20%前後の方が合併しているといわれています。両者をきちんとコントロールしていくことで、生活は大きく変わっていきます。 片頭痛もつながりの医療がとても大切であるといえます。
片頭痛の診断と治療
片頭痛の診断は、詳細な問診が不可欠です。
- ズキンズキンと拍動する頭痛
- 片側だけに起こる
- 4~72時間持続する
- 吐き気や嘔吐を伴う
- 痛みで動くことが辛くなる
という5項目のうち、4項目以上に該当した場合は、片頭痛の可能性がかなり高いということになります。
治療には、頭痛発作時に使う急性期治療薬と、頭痛を起こさないようにしていく片頭痛予防薬があります。
最近、CGRP受容体拮抗薬という、片頭痛予防のための新たな注射薬が登場しました。 適応のある患者さんに導入することで、頭痛回数の軽減とともに生活全般の劇的な改善が見られています。
当院では、片頭痛患者さんへの細やかな生活指導、適切な急性期治療薬の処方、そして適応となる患者さんには片頭痛予防注射の導入と、オーダーメイドの片頭痛治療を行ってまいります。